白壁荘だより 天城百話

若山牧水の「山櫻の歌 」

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大正11年三月末より四月初めにかけ天城山の北麓なる湯ヶ島温泉に
     遊ぶ、附近の溪より山に山櫻甚だ多し、日毎に詠みいでた
     るをここににまとめつ。 


うすべにに葉はいちはやく萠えいでて咲かむとすなり山櫻花
うらうらと照れる光にけぶりあひて咲きしづもれる山ざくら花
花も葉も光りしめらひわれの上に笑みかたむける山ざくら花
かき坐る道ばたの芝は枯れたれや坐りて仰ぐ山ざくら花
おほみ空光りけぶらひ降る雨のかそけき雨ぞ山ざくらの花に
瀬々走るやまめうぐひのうろくづの美しき頃の山ざくら花
山ざくら散りしくところ眞白くぞ小石かたまれる岩のくぼみに
つめたきは山ざくらの性(さが)にあるやらむながめつめたき山ざくら花
岩かげに立ちてわが釣る淵のうへに櫻ひまなく散りてをるなり
朝づく日うるほひ照れる木(こ)がくれに水漬(みづ)けるごとき山ざくら花
峰かけてきほひ茂れる杉山のふもとの原の山ざくら花
吊橋のゆるるちさきを渡りつつおぼつかなくも見し山ざくら
椎の木の木(こ)むらに風の吹きこもりひと本咲ける山ざくら花
椎の木のしげみが下のそば道に散りこぼれたる山ざくら花
とほ山の峰越(をごし)の雲のかがやくや峰のこなたの山ざくら花
ひともとや春の日かげをふくみもちて野づらに咲ける山ざくら花
刈りならす枯萱山の山はらに咲きかがよへる山ざくら花
萱山にとびとびに咲ける山ざくら若木にしあれやその葉かがやく
日は雲にかげを浮かせつ山なみの曇れる峰の山ざくら花
つばくらめひるがへりとぶ溪あひの山ざくらの花は褪(あ)せにけるかも
今朝の晴靑あらしめきて溪間より吹きあぐる風に櫻散るなり
散りのこる山ざくらの花葉がくれにかそけき雪と見えてさびしき

山桜23首は、歌集『山櫻の歌』(大正12(1923)年5月17日刊)に収められて発表されたものです。 
冒頭の「うすべにに葉はいち早く・・・・・」は、白壁荘の入口にある橋の袂の山桜を、三首目の「かき坐るみちばたの芝は・・・・・・・」は私ども玄関あたりで詠んだもの。例年4月上旬から牧水の山桜が綺麗に山肌を染めます。どうぞお出かけください。

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by shirakabes | 2012-04-12 21:20 |